ストレッチをしても一向に柔らかくならない人にオススメの方法 #017
柔軟性を向上させるストレッチ。
ストレッチとは、一般的に「静的ストレッチ」のことを指していることが多く、脱力した状態で、筋肉を数十秒間から数分間伸ばします。
効果が出る人はみるみる柔軟性が上がりますが、一方でどんだけ伸ばしても、
「伸びる感覚がない」「伸びた痛みが変わらない」など、一向に柔軟性が上がらない人がいることも事実。
なぜ伸びる人と伸びない人がいるのか?
柔軟性のメカニズム、そしてそんな硬い人に向いているストレッチをご紹介致します。
柔軟性はなぜ下がるのか?
1.筋委縮から柔軟性が低下する
筋線維収縮に最小単位を「サルコメア」と言い、トレーニングで筋肉を刺激するとサルコメアは増え、筋線維が長くなると言われています。つまり”長くなる”=”伸びやすくなる”と捉えるのことができます。
逆に運動不足になり筋肉が減っていくと、当然サルコメアも減ってきます。サルコメアが減ると筋線維はその分短くなるので、=”硬くなる”と捉えることができます。「硬い」とは「短い」ということなのです。
「なぜ何もしていないのに身体は硬くなるのか?」これは筋委縮から始めっている可能性が高いですね。
2.筋緊張から柔軟性が低下する
「筋肉が緊張する」とはどういう状態でしょうか?筋肉が「収縮」か「収縮しない」しか選択肢はなく、自ら「伸張する」ことはありません。つまり「筋緊張」=「筋収縮しっぱなし」という状態と言えます。しかしなぜ収縮しっぱなしの状態になってしまうのか?
それはセンサーの異常化が原因です。
筋肉は「筋紡錘」という収縮を司るセンサーと「ゴルジ腱器官」という弛緩を司るセンサー二つによって、バランスを保っています。
例えば肘を曲げるときは”上腕二頭筋が収縮”して、”上腕三頭筋が弛緩”しています。このように、人の動きとは「一方が収縮して一方が弛緩」している状態の連続なのです。瞬間的にスイッチを切り替えるわけです。
しかし不良姿勢であったり、間違った動きの癖で過ごしていると、決まった筋肉だけが働き、筋紡錘が常に働いてしまう状態になります。 ゴルジ腱器官よりも筋紡錘が優位となり、無意識に常に収縮している状態となり、結果「硬くなる」と言うわけです。
筋肉が硬くなっているというより、脳から常に収縮信号が出てしまっていると言えるでしょう。
だからこのような状態ではいくら筋肉を伸ばそうとしても、脳からの収縮信号を変えない限り、筋肉が伸びないのです。
3.その他皮膚や筋膜滑走性の問題から柔軟性が低下
皮膚が硬くなったり、筋肉を包む筋膜の滑りが悪くなると同じように柔軟性の低下を招きます。
他にも可動域制限因子はありますが、今回は現場でも多い「2.筋緊張から柔軟性が低下する」のパターンを改善するストレッチをご紹介致します。
センサーを正常化させるPNFストレッチ
PNFとは「固有受容器神経筋促通法」の略で、固有受容器(筋紡錘、パチニ小体、ルフィニ終末)を筋の抵抗や関節の圧縮及びけん引などを用いて、可動域を増大させるストレッチです。
訳が分からないと思うので(笑)、具体的に何をするのか説明します。
1.10秒の静的ストレッチ
30秒間ほど、伸ばしたい筋を静的ストレッチします。通常のストレッチと同様にリラックスした状態で伸ばします。
2.6秒間の等尺性収縮
等尺性収縮とは、止めた状態で力発揮する収縮形態になります。パートナーか自分で対象となる筋肉に抵抗をかけて、筋肉に力をいれていきます。
「思いっきり押して!」等しっかり声掛けをして押させます。筋に抵抗をかけること固有受容器が活性し、筋肉の”反応”が良くなります。
力が入っていないと、逆に固有受容器が刺激されないので、ストレッチの効果が低下してしまいます。力が弱い方は、少し気持ち長めに行っても良いでしょう。
3.30秒間の静的ストレッチ
再度静的ストレッチを30秒間行います。前に固有受容器を刺激しているので、神経と筋の働きが活性しています。つまり収縮と弛緩の信号がスムーズに出しやすい状態となっているのです。
「30秒以上行っても構わないか?」
思われるかもしれませんが、「ストレッチは30秒以上行っても効果は変わらない」といった研究もありますので、
全く意味ないとは言えませんが、「長くやるほどどんどん柔軟性が上がる」訳ではないので、
1~3を数セット行う
方が効果的と言えます。
最後に
いかがでしたか?
名前はPNFと聞きなれなく、難しいように聞こえますが、通常のストレッチの間に「筋の収縮」を取り入れただけですので、いたってシンプルです。
しっかり力を入れることが重要ですので、トレーニングのつもりで思いっきり筋肉に力を入れて抵抗してください。パートナーがいるとベストです。
ストレッチをしても一向に柔軟性が上がらない方は、センサーが壊れている可能性があります。
センサーが壊れているとどんだけ伸ばしても緊張が強く、ストレッチの効果がほぼ引き出せなく、無駄になりますので、PNFストレッチを効果的に取り入れていくことをオススメします!
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