筋肉痛が来ても筋肉はつかない #017
久々にトレーニングをしたり、きついトレーニングをした翌日に来る激しい「筋肉痛」。
「筋肉痛」は初めはイヤなものですが、トレーニングを続けていくと筋肉痛を欲するようになります。笑
筋肉痛が来ないと、「ちゃんとトレーニングができなかった」「筋肉を刺激できなかった」と思ってしまいます。
確かに筋肉痛は筋肉を使わないと来ませんし、使った場所に現れますから、ある意味筋肉痛は「筋トレの合格発表」とも言えます。
かといって「筋肉痛は筋肉を成長させるのか?」はまた別の話。もし痛みが筋肥大を促すものなら、筋肉に痛みを感じる傷害も(筋挫傷など)筋肥大されるのか?という話にもなってきます。
勿論組織は再生されますが、肥大はしません。
今回は筋肥大及び筋肉痛のメカニズム、そして筋肉痛と筋肥大の関係性について考察していきたいと思います。
筋肥大のメカニズム
筋肥大を含め、身体の変化は全て「環境適応」です。
寒い地域では毛が濃くなる。陽射しが強い地域では肌が黒くなる。
長い距離を走れば、持久力がつく。
人間は生きる為に、その環境に適応しようとします。
筋肥大もその環境適応能力の一つです。
筋肉を一定の負荷以上に刺激すると、脳は「強い力が必要な地域にいる」と感知し、筋肉を大きくさせる信号を送ります。
つまり「筋肉を増やす」には、信号を送らないといけない。
この信号を送る作業が「筋トレ」なのです。
大きく3つのルートがある
信号を送る方法は大きく3つあります。
①代謝ストレス
トレーニングを激しく行っていくと、筋肉がパンパンに張ってきます。
これはトレーニングによって、筋内に乳酸、水素イオン、無機リン酸などの代謝産物が蓄積され、筋細胞内のphは酸性に傾きます。これを中和させようと大量の水分を筋細胞内に注入する働きが出現します。
栄養の運搬や代謝物の除去の為に、対象筋に血液が集まる現象を「パンプアップ」と一般的に呼ばれます。
この現象がトリガーとなって、筋肥大を促進させる遺伝子が活性化され、筋肥大を促します。つまり筋肉を増やすということですね。競輪選手の脚は、この代謝ストレスが大きく関係していると言っても良いでしょう。
②筋損傷
トレーニングでは微細な筋損傷が発生しています。
筋損傷の発生により、炎症反応が始まり、これがマイオカインの産生をもたらします。
マイオカインは筋衛星細胞の増殖と分化を制御する様々な細胞増殖因子の放出を促進すると言われており、
結果的にIGF-1等の成長因子が活性され、筋肥大及び筋増殖が促進されると考えられています。
③機械的張力
筋線維に張力が加わることにより、筋細胞内に化学的変化が発生します。
これは①代謝ストレス②筋損傷とは違い、直接的に筋へ影響を及ぼしますので、筋肥大に最も関係する主因とも言えます。
以上、これらのストレスを筋へ与えることで、筋肉を肥大させることができます。
筋肉痛のメカニズム
結論から言うと、「発痛物質が出ているだけ」ということです。
筋は損傷すると、修復の為に白血球が集まります。この修復しようとしている状態を「炎症」といいます。
※炎症は悪いように聞こえますが、回復反応です!
その際にプロスタグランジン等の発痛物質が生産されますが、これが「筋肉痛」の元となります。
「炎症から発生する発痛物質がでている」ことが筋肉を大きくするなら、先述したように筋挫傷など筋肉のケガでも同様に筋肉が大きくなっても良いはず。
なので「筋肉痛」と「筋肥大」は直接的な関係性はないと言えます。
筋損傷は筋肉を大きくする?
筋肉痛は筋損傷が発生しているサインともなるので、全くゼロではありませんが、どの程度筋損傷が筋肉の成長に貢献しているのかは未知数であります。
個人的には③機械的張力、①代謝ストレスの影響が大きいのではないかと考えています。
※競輪選手やスケート選手の脚を見ると、二次的影響でありながら代謝ストレスによる筋肥大はバカにできません。。
トレーニングを繰り返し行っていくと、筋肉痛は来なくなったり、軽減されることはよくあります。
これは損傷を繰り返す度に筋線維の”剛性”が高まっており、損傷しにくくなっているのではないか?と考えられます。筋原線維だけでなく、それを繋ぐ結合組織なども変化しているということでしょう。
多くのボディビルダーは体験的に「筋肉痛が来なくても筋肉は成長する」ということを知っています。
経験的にも科学的にも代謝ストレスと機械的張力が筋成長の大部分が占めていると考えられます。
最後に
筋肉痛が来なくても、筋肉は成長するということを知っていただけましたか?
逆に筋肉痛自体は、成長とは関係ないということも知っていただけたかと思います。
これでトレーニング後に筋肉痛が来なくても、落ち込む必要はなくなりましたね笑
逆にいかに筋を伸張収縮させられるフォームでトレーニングできるか、最も張力のボリュームを引き出す重量と回数を設定できるか、また代謝ストレスを与えられるか(パンパンにできるか)、といったことが重要になってきます。
効率的なフォームと設定で、効率的に筋を成長させていきましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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